バチカン市国の国防を担う人々
バチカンには、軍隊がなく、警察署もありません。
国の治安維持には、イタリア警察(主にローマ警察)とスイスの傭兵が
当たります。
バチカンがローマ市内にあることを考えると、イタリア警察がバチカンの
治安維持に力を貸すことは不思議ではありませんが、何故スイスの傭兵が
バチカンを担当するかについては、不思議に思われるかもしれません。
元々、スイスには「傭兵産業」というものがありました。
産業に乏しかったスイスにとって、傭兵産業はスイスの産業社会に大きな役割を
果たしてきて、多くの傭兵を国外に輸出してきた歴史があるのです。
彼らが非常に優秀であったことから、16世紀になると、バチカンも国の
治安維持のためにスイス傭兵を雇い入れるようになりました。
現在のスイスでは、傭兵の輸出は禁止になっています。
しかし、バチカン警護の深い伝統があることから、例外的にバチカンにだけは
傭兵を派遣しています。
傭兵になる主な条件は、
・スイス国籍でカトリック教徒であること
・18歳〜30歳であること
・スイス軍の兵役義務を終了していること
・身長173cm以上であること
・地元自治体と教会から推薦状を得ること
の5項目です。
スイス傭兵は、主に教皇のボディガードとしての任務が与えられ、そのほかの事件、
一般的な刑事事件のようなことが発生した場合はイタリア警察が主に担当することに
なっています。