バチカンの経済
バチカンには利益追求のための産業はなく、国の収益経路を辿ると、
他国とは全く違うことがわかります。
何より国そのものがいち宗教のためにあるので、宗教活動のため資金、
或いはその人員への給与や生活の保障のための資金というものが必要に
なってくるのです。
逆に、それ以外の理由で国が豊かになることもありません。
バチカンの主な収入源は、カトリック信者たちからの献金です。
それ以外では、美術館関連の収益(入場料、ミュージアムグッズなどの収益)、
書籍の販売、そして、記念切手とコインの販売で収益を得ています。
主な歳出は、バチカンで働く人々への給与、在外大使館の運営費が主なもので、
あくまでカトリック総本山の維持目的の歳出になります。
バチカンは国全体が世界遺産で、キリスト教芸術の最高峰を貯蔵しますが、
これらはほかの美術品とは違い、例外的な価値を持っています。
というのは、それらの美術品全てが世界遺産の一部なので、勝手な売買により、
利益を得ることは許されていないのです。
また、美術品の修繕費用ですが、これには資金提供者が別にいることもあります。
例えばシスティーナ礼拝堂は、日本のテレビ局がスポンサーになり、全面的な修復を
することができたといういきさつがあります。
バチカンという国の経済は、カトリック信者、或いはカトリック芸術を愛する
人々との絆によって一定の水準が保たれている、と言えるでしょう。